第4回:“ふわりの森”アートプロジェクトが秘める可能性

空総研: この先、“ふわりの森”はどうなっていきますか?

シムラ氏: アートでの活躍はもちろん、リノベーションによる建築も話題を集めていくと思います。アーティスト・イン・レジデンスは、海外のアーティストが滞在して作品を発表する場になります。古民家もホテル化させていきたいので建築とアートはもっと密になる予定です。

空総研: プロジェクトに対する海外の反応は?

シムラ氏: (ホームページへの)アクセスが増えましたね。特にアジア圏は常に新しいアーティスト主体のプロジェクトが起きていて活発化しています。しかし日本はその動きが少ないです。その中でこのプロジェクトは、成田というロケーション、アーティストのラインナップ、プロジェクトのスペックなどの点から新しい日本のムーブメントとして紹介されています。

空総研: 私は、かつて海外の展覧会に参加した時にレジデンスを借りたことがあるのですが、確か展示会場から電車で30分くらいだったことを記憶しています。日本は利便性から都市集中型になっていますが、仮にここが滞在先で展示会場が都心だったとしても無理がないような気がしてきました。今の日本人の感覚だと無理なのかもしれませんが。電車に乗って都心へ行き、滞在先に戻って創作活動を行う。そこに温泉もある。帰りは逆方向に電車に乗ると成田国際空港。これは「あり」ですね。

シムラ氏: そうですね、成田から上野まで1本ですから可能だと思います。

空総研: 誰かがこうゆう動きをして、風穴を開けないと誰も腰が上がらないですからね。

シムラ氏: そうですね。実際にこうしてギャラリーも構えることができましたし進捗スピードは速いのではないかなと思っています。

【目次】
第1回
ふわりの森って何ですか?
第2回
成田空港でのエキシビションから出発
第3回
閉校となる母校を記憶の美術館に
第4回
“ふわりの森”アートプロジェクトが秘める可能性
第5回
アーティスト・シムラユウスケの空港観
第6回
これからの空港に必要なのは、地域との“共生”
第7回
ふわりの森の「NARITA」には「ART」があって、アートの中に「I(人)」がいる
【プロフィール】
シムラユウスケ氏
1981年生まれ。写真、ドローイング、プロジェクトワークなど様々な視点から自身の表現の根源になった、ユーリイガガーリンの「地球は青かった」の言葉から「人の夢とは何か」を作品化し、国内外で作品を発表。東京、ニューヨークを拠点に中東、北欧、アジアでの個展を展開し、各国でコレクションされている。2011年東日本大震災以降、自身の出身地でもあり被災した成田国際空港を包み込むランドアート“ふわりの森”のプロジェクト・ディレクターとしても活動。
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